ローマに行ったらRAMEN BAR AKIRAでラーメンを食べてほしい


イタリアでは基本的に食べ物はピザかパスタかリゾットでごくたまに中華料理店でチャーハンを食べてリフレッシュしていたわけだが、2週間この食生活を続けていると無性にラーメンが食べたくなって本能的に「ローマ ラーメン」とGoogleで検索していた。

一番上に出てきたのは「RAMEN BAR AKIRA」そして「Okasan」「Mama-ya RAMEN」が続く。Googleの点数的には「Okasan」が高いがラーメン専門という訳では色々な記事や店舗情報からするとないらしい。お好み焼きなどもあり日本食を扱うとのこと。生理的にそのような店を避けてしまう。

Google の点数は劣るがGoogle の検索結果的に記事数が多かったのが「RAMEN BAR AKIRA」。何やら家系の味らしい。そしてオーナーは日本人でイタリアで中国人などが日本料理店とうたいながら本来の日本料理を提供していないところを問題意識にし、またイタリアにいる日本人に日本で食べていたラーメンを味わい懐かしみイタリア料理の口直しにして欲しい、そんな想いがあるとのこと。確実に僕のフィルターがかかっているので是非「RAMEN BAR AKIRA」を検索し記事を読んで欲しい。

「RAMEN BAR AKIRA」はピラミッドという地下鉄の駅が最寄り駅である。僕はテルミニ駅近くのホテルに泊まっており歩くのはさすがに遠いと地下鉄で行くことにした。1.5ユーロである。夜7時過ぎ。ピラミッド駅周辺はとても暗い。何やら大きなピラミッドの影もあり、ピラミッド駅はこのピラミッドの遺跡か何かが駅の名の由来なのだろう。ローマ、バチカンにある、石が何かとエジプトから運んできたもの、と何かで読んでいて、このピラミッドもエジプトと繋がり、妙に存在するイタリアとエジプトの親和性にまだ違和感が残りながらも徐々に慣れていることに驚く。

暗い道が続く。雨が降ってきた。余計にこわい。すれ違う男性2人に「ニーハオ」と声をかけられた。もちろん無視である。

開いていない店が続く。「「RAMEN BAR AKIRA」は開店してるよな??」と不安になる。雨が強くなる。不安が大きくなる。

Google マップが「この辺」を指す。あった。見覚えがある入口、あ、「RAMEN BAR AKIRA」と看板がある。

中に入る。

僕は1人。女性の店員にカウンターを勧められたがテーブル席が良いとお願いすると可愛く断られてしまった。しかしなんで自分がテーブル席が良いとリクエストしたのかは分からない。反抗期か何かと店員とコミュニケーション数を増やしたかったのか、それならカウンターの方が将来性があるだろう。

カウンターに座る。女性の店員はコートを預かろうとするが「大丈夫」と断った。テキストにした僕の客としての態度は良くないが、女性店員の接客は優しく可愛く素晴らしい。

メニューを眺める。ブラック=醤油ラーメン、ホワイト=塩ラーメン、レッド=辛味噌ラーメンの3種のラーメンがある。全て13ユーロで、ミニが9ユーロであった。13ユーロは日本円に直すと13ユーロ×120円で1560円でかなり高く感じるがここはイタリアである。

ブラック=醤油ラーメンとスモールボトルの水を頼んだ。

カウンターからは厨房が見える。イタリアに来てピザ屋では作っているところを見ることができたが、トラットリアなどは勿論厨房を眺めることはできない。最近ピザに諦めあまりピザ屋に行っていなかったのでとても新鮮であった。

日本のラーメン屋の厨房と比較して「RAMEN BAR AKIRA」の厨房はとても広い。大きな鍋の量も日本の人気店よりも数が多い。どれだけ作るのだ、イタリアでラーメンを。これだけでイタリアでのラーメンの人気を感じた。また白が基調の厨房に清潔感を感じる。違和感があるのは厨房を眺めることができるのだが、プラスチックの透明の壁がカウンターと厨房の間にあり、その透明な壁が厨房スタッフとの距離をひろげる。厨房スタッフの中にアジアンな顔の方がいた。日本人かもしれないと思ったが声をかけるにも何て声をかけたら良いか分からない。よく考えてみたら話すこともない。そのスタッフは茹でた麺を日本でよくありそうなオーバーアクションの湯切りをする訳でもなく、一回だけ、さらりと行い、ラーメンの素となる複数のシロップを入れ、またスープを注いだどんぶりに入れた。そしてその上にチャーシューとほうれんを簡単にのせる。

「はい、どうぞー」

そのアジアンな顔の男性が透明のプラスチックの壁を開けブラック=醤油ラーメンのどんぶりを僕に差し出す。あ、日本人だったのか。それにしても「はい、どうぞー」がとても日本らしくて嬉しかった。召し上がれ、でもなく、はい、どうぞー。ぶっきらぼうというまでではないがそのライトな感じがイタリアという料理の場をきちんとさせる文化がある場所のそれとは違う感じで、ホッとした。これこそがラーメン、というか。

どんぶりを受け取ると透明なプラスチックの壁はたま閉まり、距離が厨房との距離が2キロくらい生まれた。マラソンだったらもう1位になれない、それくらいの距離。

ブラック=醤油ラーメンに向き合う。スープをいただく。これは、確かに、家系の感じである、が、どこか、日本の家系の強い感じではなく、やや薄いというかまろやかさがありそれが品を感じさせる。なるほど、イタリアのラーメン。家系といえど品を作り出すのか。何様だ。

麺をいただく。家系独自の太い麺ではないが、日本にある細麺という訳ではないくらいの太さの麺で、これまたサイズ感にも品を感じる、面白い。コシはというと日本の有名製麺所が作り出すレベルにはいかないがきちんとラーメンの麺であり、スープに麺がしなやかに絡んでいることが分かる。日本の家系ではないがイタリアの品を備えた日本のラーメンであると思った、ここで一つ疑問が生まれる。イタリアにはラーメンの製麺所はあるのか。とても気になりながらラーメンを味わう。ラーメンを久しく食べていなかったから啜る、啜る。味を噛みしめながら啜る。ラーメンの塩分がたまらない。イタリア料理にこれほどの塩分を感じさせる食べ物はあっただろうか。そして塩分の旨さをただひたすら感じた。本当に美味しくスープまで全て飲み干した。ただラーメンを食べるだけのために地下鉄に乗って来た甲斐があった。美味かった、幸せである。

日本人スタッフに「本当に美味しかった」と伝え「あなたはアキラさんですか」と質問すると「違いますよ!」と気さくに返事をくださった。イタリアにラーメン店を出すにはさすがにこの日本人男性だと若すぎるか、と恥ずかしくなったが、その日本人スタッフが他のスタッフとイタリア語を話す様子は本当にかっこよく、彼がイタリアに来た目的が気になってしょうがなくなったがそこまで入り過ぎるのは良くないと質問はやめた、のだが麺のことについては気になり過ぎて衝動的に聞いた。

「イタリアにはラーメンの麺の製麺所はあるのですか?というかこの麺は製麺所のものなのですか?」

すると

「いや、この麺は毎日ここで作ってるんです。あそこに見えるのが製麺機であれを使っています。」

感動した。だから厨房も広くないといけない。そしてこの13ユーロという日本と比較した金額差にも納得した。手間暇がかかっているのだ。そしてあれだけの美味しい日本を感じさせるラーメンを提供しているのだ。すごい強い志を製麺機から感じた。

もう1つ聞きたいことがあった。透明のプラスチックの壁のことである。日本にはない、あの透明のプラスチックの壁はなぜ「RAMEN BAR AKIRA」にはあるのか。

質問した。日本人スタッフは「これは厨房のラーメンの臭いをフロア全体に拡げないためです」と回答。なるほど、そうなのか。九州のとんこつラーメンなら僕的にはううとなるたがそれが九州のとんこつラーメンだし、と許容する気持ちを持っていた。この「RAMEN BAR AKIRA」のラーメンはそこまでの臭みはない、がこの配慮、イタリア的な心があるように思えた。

上品な家系ラーメンをこのローマで食べることができ感動した。そしてローマを経つ最終日、どうしてもまたこの「RAMEN BAR AKIRA」のラーメンを食べたくなり…しかしピラミッド駅に行くまで時間がなく、いやフライトの時間を考えると「RAMEN BAR AKIRA」のオープンの時間に行くには難しく、諦めかけたが、なんとテルミニ駅にも支店があったのだ。これは嬉しい。

帰国のことを考えランチタイムの前にテルミニ駅内のフードコート的な場所で、「RAMEN BAR AKIRA」のコーナーを探す、下見である。

赤いペンの落書き的なデザインが気になる、これがイタリアの現代の良いデザインなのか。ラーメンのロゴがある、ここだ、ここが「RAMEN BAR AKIRA」だ。前は若干違うが。

「RAMEN BAR AKIRA」のコーナー内には1人のアジアンな顔の男性。この前の方とは別である。人気のラーメンを聞くと日本語で「辛味噌が人気です」と返答が。また日本人であった。「RAMEN BAR AKIRA」には何人日本人がいるのか、アルバイトなのか、社員なのか。アキラさんという方は何という人望の持ち主なのか。こんなに日本人を雇えるのか、このイタリアで。最初、ホワイト=塩ラーメンを食べようと思っていたが、すぐに人気のレッド=辛味噌ラーメンを頼む。「4分でできますよ、また呼びますね」というアナウンス。すごい、4分でできるのか。

アナウンス通り4分で出てくる。紙の可愛らしいカップ。値段は9ユーロである。日本円にすると1080円である。高いと思ってしまうこの日本円に直す癖は結局治らなかった。日本は本当に何事も安い、そして美味い。

レッド=辛味噌ラーメンを食べる。とてもまろやかな味噌の風味、いやそこまで強い味噌味はない。また辛味も弱い。とんこつ?のまろやかさが味噌を包み込み綺麗にまとまっている感じである。これは美味しい。多くの味噌ラーメンは味噌に頼り切る。味噌は美味いからどんなラーメンでも味噌に頼れば美味くなるのは当然だが、他のラーメン店との差別化が難しくなる。この「RAMEN BAR AKIRA」のレッド=辛味噌ラーメンは他店の味噌ラーメンとは全く違う、美味い、これは美味い。美味い、美味いと言いながらすぐに食べ終わってしまった。とても満足である。先日食べたブラック=醤油ラーメンよりもラーメンとしてとてもまとまっているように思ったのはこの紙のカップのせいだろうか。麺も良かった。「RAMEN BAR AKIRA」の本店で食べるよりも粗が目立っていない印象だった。「本当に美味しかったです。この麺ってどうしてるのですか?」また質問してしまった。「本店で作ったものをここに送っています」という回答。そうなのか、あの製麺機で作った麺だったのか。とするとこの紙カップで食べた麺とスープのまとまりは麺を置く時間か、紙カップでの提供法、つまり印象ということなのか、変なことを考えてしまう。「そうなのですね、ありがとうございます、本当に美味しかったです、またローマに来たときにきます!」そう返してフードコートを出た。しかし気になる、ホワイト=塩ラーメンの味。気になって仕方なかった。ホテルにキャリーバッグを取りに行く。まだ気になっている。お腹には多分まだラーメンは入る。予定していたバスの時間は割と迫っていた。

決めた。ホワイト=塩ラーメンを食べる。バスを遅らせる。多分飛行機は大丈夫だ。

再びテルミニ駅のフードコートへ。

「また来てしまいました。ホワイトをお願いします」やってしまった。ランチのラーメン2食。ミニとはいえ2食となると割と量はある。日本人スタッフは「はい」とかっこよく返事をする。フードコートは12時を過ぎ先ほどと比較しとても混んできた。しかしホワイト=塩ラーメンはしっかり4分で出てきた、ありがたい。なんて速さだ。

ホワイト=塩ラーメンをいただく。美味い。鶏白湯味があり上品でとてもまろやかな感じ。醤油にも辛味噌にもないこの味はなんなのだ、色々な顔を見せるこの味を作っているシロップはなんなのだ。完食した。美味かった。相席になった卒業旅行中の女子大学生に「ラーメン美味しいですか?」と聞かれ「実はこのラーメン、このランチタイムで2食目なのです、それくらい美味いです」と答えた。「え、そんなに!?」と少し笑われた。確かに、何イタリアに来て、「日本のラーメンだ!」と感動しているのだ。ただの旅行でイタリアに来ている身である。数ヶ月、数年と長くイタリアにいる訳でない、たった3週間ほどである。それをなんだ。「日本のラーメンだ!」って。

イタリアらしい、ピザやパスタ、リゾットは割とたくさん食べた。しかし最後の最後はラーメンに尽くした。多分僕はラーメンが好きなんだと思う。そして、「RAMEN BAR AKIRA」、またローマに行った時に行く。


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