Twitterでも本でも面白い世紀末さんの4コマ漫画


 

発売されてから数ヶ月と時間が経ってしまっているのだが、世紀末さんの4コマ漫画の本「殺さない彼と死なない彼女」を今更読んで、最近増えているWebで流行っている漫画を本にする流れの中で、すごいなぁと思う点があったので、ここで共有する。

 

まず、世紀末さんの4コマが載った漫画投稿を。

 

確かに4つのコマがあって、話としても完結しているのであるが、4コマ漫画のいわゆる起承転結というか最後のコマでしっかり落とすみたいな従来のフォーマットと照らすと少々違う訳であるが、これは、この世紀末さんの作品を初めて触れた人の感想であって、ここに出てきている前髪を垂らした男の子と「ドライヤー」と叫ぶ女の子の2人の関係を過去の作品より知っている人が読むとこの2人に微笑ましさを感じ自然と泣ける。

初見ユーザーとして、その投稿にたくさんのリツイートやいいね!が付いているので思わず気になり無視できず、キャラクターも可愛いし、オチはピースフルで、何となく周りにならっていいね!を押してしまう。そこから、世紀末さんのTwitterアカウントをフォローして、しばらくこの登場人物2人の続きの話を読んだり、過去の作品を読むと、2人の関係が分かり、前にたまたま読んだドライヤーの話の受け取り方が変わってくることが想像できる。

世紀末さんの4コマ漫画の本「殺さない彼と死なない彼女」には、先にあげた登場人物2人だけじゃなく別のキャラクターの人間関係も出てくる。その全ては4コマ漫画で切り取られているのであるが、人間関係としてまとまりを見せ、4コマであるはずなのに、次の話(4コマ)に繋がり、1つの人間関係が1つの話として何十コマでまとまっている。

 

4コマ目にしっかりしたオチがないことで、4コマ漫画特有のオチが連続するパターン疲れがなく、スラスラ次に進め、しかもそこに2人の関係も進んでいくものだから飽きるどころか次は?次は?と加速しながら読み進めてしまう。

世紀末さんはTwitterにこの作品をあげ始めた頃から、このように一冊の本にすることを想定していたのだろうか。
1つのツイートに貼る4コマ漫画としても楽しめ、1冊の本としても成立させる、これはとても難しいことだと思う。
Web発の書籍について多くの場合、大小差はあるが1冊読み切った時に物足りなさを感じていた。しかし世紀末さんの作品には感じなかった。その物足りなさとは何なのか。それは多分、1つの物語としての長さと登場人物同士の人間関係の進行具合なのかなと。

 

世紀末さんは、ツイートに貼った2人の関係を描いた4コマ漫画が実は2人の関係を進める1つのピースでそれを連ねることである程度満足感のある長さの1つの作品にし、4コマというフォーマットで短いリズムで物語を押し進め、2人の関係も短くも深くそして分かりやすく伝えることを実現した。
4コマが4コマとしてのみ語られる誰かの話であれば、それを例え読まなくても良いわけで、読む必然性がない。読ませる推進力を生めない。

 

Twitterで展開される漫画は、その漫画単体として面白く成立した作品になっているかどうかでウケるか否か決まる。それがかえって短い物語を生み、Twitterではさらりと楽しめたものが、一冊の本になった時に小粒の花火が単発で撃ち放たれる花火大会のような物足りなさを生んでしまうと思う。
どの立場でこれを自分が書いているか全く謎なのだが、僕が本で作品を読むのであるのなら、ある程度の長さで割と展開のある話を読みたい。

Twitterで読んだ時と本で読んだ時、それぞれ成立している作品を生むことは本当に難しいと思うけど、そういう作品を読みたい。
 


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