新宿ニューアート(ストリップ/歌舞伎町)の夜


小学時代からの友人と新宿ゴールデン街へ。

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いつもは、ラーメン屋の凪に行く程度で、目的地は常に凪なので、ふらっとゴールデン街に行くのは久々。三年前の年末だったか。

20時前。ふらふらとゴールデン街を歩く。たまたま20時開店のお店があって、それは二階のお店であって、今から開店だぞ!と階段に繋がる入口に開店を知らせるボードを出しているところに、僕らが出喰わすかたちで、運命的な出会いと思い、そのまま、本日営業の第1組の客として入店した。

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何となく、梅酒のロックを頼み出てきたのは缶詰。

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久々に缶詰を食べる。食べるながら、ゴールデン街の楽しみ方を店員に行く。ここの店に入って4ヶ月目だという。その方の行きつけのお店を聞いて、ただそんなに自分たちに合わなそうだと思って、一先ずこの店で楽しむことに専念しようとした。そしたら本日営業、2番目の客がきた。

ゴールデン街の建物は急な階段。この店も例外でなく急な階段且つ狭い。登りづらそうにゆっくり登ってくるのが音と影でわかった。上まで登ってきた。40歳後半くらいの男性。話し下手のような感じで、ゴールデン街と聞いてイメージする像であった。店に辿り着いたのに、のそのそ歩く。ゴールデン街特有の階段のせいでなかった、そもそもこの男性の運動神経のせいであった、95パーセントくらいは。

店員と友達の酒井と3人でゴールデン街の話を聞きながら、「今度、彼(酒井)が結婚するんですよ」と話を切り替えた。「おめでとう」と店員はテンプレートを返す。「マリッジブルーな感じなんです、彼」と続けると「そうなんですか」と店員は引き続きテンプレートを返す。そんな話をしながら、2番目の客に何かの原液を出すと同時に店員は2番目の客と話し出す。2番目の客は運動神経は鈍いのに話は軽快であった。出身地の話をしている。どうやら店員は群馬で、2番目の客は〝チバラギ〟と言っていた。千葉と茨城…どっちやねん、そんなあやふやな回答で店員も困惑。話が僕らに降ってきた。

「出身地はどこや」

「神奈川です。湘南です」

「俺、湘南高校やったで」

湘南高校は、神奈川県の公立高校のなかで一番偏差値が高い高校である。まだその偏差値は2番目の客からは感じていない。

「今はどこに住んでいるんや」

酒井は答える。

「横浜です」

「俺も横浜や、保土ヶ谷」

微妙に韻を踏んでいたが、あえてスルーした。

何が、チバラギで、何が保土ヶ谷か、よくわからなかったが、興味もなかった。

「ゴールデン街、初めてでオススメを教えてくれませんか」

と話を変えてみた。

「11チャンネルという店はいいぞ」

調べてみたら、ゴールデン街から外れ、すぐそばのソープランドであった。

「朝7時に行くと7000円や」

今は20:30なんですけど…と思いながら、激安ですね!と返した。

「他にないですか」

と質問を続けた。

「吉原はいいで」

は?なんで?ゴールデン街じゃないし、エロ縛りできた…動揺しながら

「送迎はどっちからですか」

と聞いた。

「歩きや」

多分この方は高級店には行っていない、と確信しながら、「今のうちに行かないとあかんよ」という助言を心の中で跳ね返した。

「あとは、そこのストリップ。あそこは有名や。ただ物足りないが」

僕はピンときた。ゴールデン街を百数十回は通っているので、ストリップと聞いて思い当たる店があった。そして、いつか行ってみたい、中がどうなっているか見てみたい、とそう思っていた。

「酒井、どう?」

「行こうか」

この酒井の「行こうか」がとにかく一旦避難しよう!かは定かではなかったが、ストリップへの興味が急にわいた。

ゴールデン街を新宿駅寄りに抜ける。

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新宿ニューアート。何回もこのお店の前を通り、ストリップであることを理解しながら、〝新宿ニューアート〟という名前であることを初めて認知した。新宿ニューアートの文字を眺める。別な興味が湧いてくる。この新宿ニューアートの看板が眺めてきた歴史を辿った景色を見てみたい。明らかに平成ではないデザインのこの看板はいつからここにあるのだろうか、いつからゴールデン街の出入口を眺めてきたのか、急に興味がわいてきた。

値段をみた。5000円とあった。ストリップのイメージは映画や誰かの言葉の中にしかなかった。ほぼ裸の女性の辛うじて着ている粗いストッキングにお札を刺す、そんな光景である。

新宿ニューアートから出てきた男性とすれ違った。

「今、3000円だよ」

親切にボード外の価格を教えてもらった。客から教えてもらうとは思わなかった、いや、あの男性は客ではないのかもしれない、ただ3000円なら…と思い、階段を下り入口に向かった。

「3000円ですね」

と店員から言われた。??そうだけど…「3000円です」であればわかるけど、末尾に「ね」いるか?なんかクーポン券を持ってきた気分になる、さっきの男性はやはり店の人だったのか。

3000円で中に入った。

映画館のような重い扉が夢の世界と現実世界を分けている。中から大音量の椎名林檎が聴こえる。入って良いのかわからなかった。「いいよ」と喫煙中の客らしい男性から言われ、言われるがままに扉をあけた。服を着た女性が椎名林檎のジャジーな曲に合わせて踊る。ミラーボールが光る。照らされる服を着た女性も光る。それを見る20人近くの男性の目も光る。ほぼ満席であった。ほとんどが男性だが、女性も2人いた。

椎名林檎で踊る女性の回は終わった。脱ぐことはなかった。

「ストリップって脱ぐわけでないのか」

イメージとの違いを感じながら、それはそれでいいか、と思って座っていた。

暗転した。音楽がかかる。

別の女性が出てきた。青い服だ。肌が綺麗な女性である。もちろん服を着ている。ドレス風だ。音楽に合わせて踊る。踊りは上手い。ドレスから覗く肌はとても綺麗で、僕らは最前列に座っているから、誰よりもその肌が綺麗であることはわかっている。一曲目が終わった。2曲目が鳴る。一旦舞台の上の女性ははけた。スカートが短めのドレスに変わり、踊る。3曲目は布を羽織る程度。胸も下も見える、イメージしていたストリップである。突き出したステージの上に女性は転がる、脚をうねらせる、背中を見せながら開脚、組み直してまた開脚。こっちになかなか向いてくれない、ストリップという場所の特等席はサイドなのかもしれない、正面にはなかなかチャンスが落ちてこない。4曲目も終わった。うねる女性からはエロさを感じず、下着メーカーのカタログに載っているような外国人女性の下着姿を見ているような、そもそもエロの対象ではない芸術性が高くあったように思う。またストリップというは技術であることも分かった。重さがある服から曲を重ねるごとに服は薄くなる、急に肌を多く露出することはない、ゆっくり、ゆっくり、階段を上るように。ほとんど脱いだとしてもレースが邪魔をする、その焦らしがぐっと唾を飲み込ませる、ただエロさではない。曲の盛り上がりに呼応して脚をまっすぐ伸ばし静止、会場からは拍手が巻き起こる。これはストリップのルールなのだろう。裸の女性を4人見たところで、そのルールはしっかり身体の中に染み付いた。どこで拍手をするか、周りの客への配慮も。

前に立つ女性はそれぞれ4曲もしくは5曲舞う。全て終わると客との交流というか、いくらかお金を支払いその女性を店のチェキで撮影することができる、舞っていた時のイメージと違う声で、客と話している姿をみると、そのギャップに心が奪われる、とても魅力的なのだ。

〝女性は裸が全てではない〟女性の裸をこれでもかと見せてもらった状態で、思ったことである。ストリップはアートの世界。〝新宿ニューアート〟の店名はまさにストリップを言い得ていると、そう思った。

お店:新宿ニューアート

 


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