建築というのは外とどう関係して生きていくか、なのか〜藤本壮介展「未来の未来」@TOTOギャラリー・間※全作品紹介〜
普段何気なく生きていて、街を歩いている時はスマホを見て、家にいる時はテレビとPCをつけた状態でスマホも触り、と基本的に本当の自分は何かのメディアの中にいるというか、客席に座って誰かの成果物を見ては何かを思い、あーでもない、こーでもない、とブーブー言っている面倒な感じの人にどこかなっている。
そこにいるようでいないような、アニメ的に表現するときっと透けているような、そんな感じだと思いながら、千代田線の3番出口を降りた。
地上出口付近にポスター。建築家 藤本壮介さんの作品展「未来の未来」がTOTOギャラリー・間で現在行われているので行ってきた。
藤本壮介さんとは
詳しくは、Wikipedia参照…なのだが、今みたらまだWikipediaに藤本さんのページがない!少し紹介する。
1971年生まれ、まずその若さに驚く。また2000年、実施の青森県発注「県立美術館設計競技」で一人で戦いに挑んでいたことにも僕は個人的に惹かれた。国内外の著名建築家やアトリエ事務所含め393もの応募案がそのコンペに提出されたなか、藤本さんの案が2位を獲得したようだ。そういう一人狼に見えるような人には何となく目が行くというか注目してしまう。現在は「県立美術館設計競技」の結果もあり国内外で注目を集め、2000年から15年経ち2015年、住宅から公共建築まで100を越えるプロジェクトに挑んできたとのこと。そこで藤本さんは、常に人と空間のあり方、都市とのつながりを意識しながら試行錯誤を繰り返したようで、その思考が今回の展示会で見え隠れするというか、隠れるところなく全部出しされているように思った。「House N」、「Tokyo Apartment」の文字が展示物のシールに多く記載されていたが、それは実案件で藤本さんの思考が具現化されたもののようだ。
TOTOギャラリー・間
アート施設が犇めく六本木、乃木坂にTOTOギャラリーはある。
乃木坂駅の3番出口を出るとすぐにビルが見える。
入口。壁はガラス張りで何やらお洒落に何かがディスプレイされている。
TOTOといったらトイレだが、水周り全般ある。デザイン性に優れ、「こんなのが家にあったらなぁ」と始終思ってしまう。
シャワーもある。高級ホテルとか海外のホテルで見るような水が出るところの面積が広いものが多いと感じる。
これだ。これでシャワー浴びてると、海外来た感がある。
藤本壮介展「未来の未来」
展示会のタイトル通り、藤本壮介さんが住む事に関しての「未来の未来」を考えた軌跡が模型を通じて伝えられる。
展示スペースの様子。基本的に模型を見て回る。一つ一つの模型には、藤本さんのコメントがついている。コメントには、コンペの情報や、このデザインに至った考え、見に来た人への問いかけもある。住む事に対して、無関係の人はいない。でも住む事に関して、あまり考えてこなかった自分を再認識することになると思う、少なくとも僕はそうだった。
藤本さんの展示物を自分なりに整理すると
- 建物と外との新しい関係の提案
- 壁の再考
- 既存の物をヒントにしたデザイン①物そのものを置く
- 既存の物をヒントにしたデザイン②複数の物を積む、束ねる
に分けられると思うが、この4つには親子関係があり、1が他全ての親であると考える。ただ複雑で境界が曖昧で、図にするとこんな感じ。
全ての物は、見ている人に新しい住み方を提案し、同時に問いかけてくる。模型の分かりやすさと脳みそへの影響力をたくさん感じたので、ここに全て載せるが、実際に会場に行って、模型を色々な角度から見るべきだ。
それでは、展示物を紹介する。枚数がかなり多いので説明は少なく。展示物についているコメントを見てほしい。
1.建物と外との新しい関係の提案
建築というと、外と切り離された建物内部に意識がいくが、この展示では外と建築の関係についての試行錯誤が示されている。建築が外とどう繋がるかパターン出しがされ、また似ている模型もあり、藤本さんのなかで検証が行われているようだった。
壁は重層だが室内が 密閉されて いる訳でなく、内側には木が生える。
重い素材でもモザイク状に境目を曖昧に。
緑を室内に取り込む。
建物を細胞的に、生物的に。また緑も散りばめる。
流れを意識。あらゆるパターンを考える。
横、縦と、見通しという流れを検証。
ランドスケープも。
家を積む。
それも山肌を参考に。
重ねに重ねる。
縦横関係なく緑を。建築という森。
スケールを無視して物を置いて考える。
洞窟的建築。
迷路。シークエンスを楽しむ。
流れの検証。
不思議な眺望を。
光を考える。重さを考える。
自由な思考。
洞窟的だがクリアに。
外に曖昧に生活を拡張。曖昧というのは、気持ちが良いのかもしれない。
気持ち良さそうだ。
重さも曖昧に。
丘的建築。
立体化。
人工的植栽の拡張。
斜めのかっこよさ。
重さと軽さと曖昧な縦と横の延び。
空気的建築。
地形的建築。
より自然的な人工的植栽。
外なのか屋内なのか。
2.壁の再考
壁にフォーカスされているように見えた模型が該当。
土の間隙のような壁。
透け感と割れ感。
粗いのか荒いのか。
自然的な境目。機能も付加。
建築の向こうの外も見通せる気持ちさ。
3.既存の物をヒントにしたデザイン①物そのものを置く
紙や紐や網など既存のものを置いて、建築として眺める実験的な取り組み。
住居の化石?
幾何学。
危険そうだが、落ちても柔らかいのかもしれない。
どう生活するのか。
ケース的建築。
柔らかさのある優しい壁。
素材自体を活かし考える。
4.既存の物をヒントにしたデザイン②複数の物を積む、束ねる
物を重ねる事によって空間をつくる。そして空間を活かす。
ズラすかっこよさ。
何かもを曖昧に。
抜けを曖昧に。
展示会を見て思ったこと
こういう展示会を見るわりには、街を歩いている時もスマホばかりで、「外にいる時は、外の景色に集中しろ」と自分に突っ込みながら、六本木ヒルズを目指し歩いている。
面白いファサード。